エンジョイ!ゆうゆうライフ


東京医科歯科大学大学院
医歯学総合研究科 環境社会医歯学系専攻
医療政策学講座 政策科学分野
河原 和夫 教授




概要
国民に対する医療提供は医療法に規定された、診療所、病院および助産所により行われている。

診療所は無床と有床のものがある。なお、有床診療所は1~19床から構成されている。医療法では20床以上の病床を有する医療施設を病院と定義している。わが国には現在約9,400か所の病院があるが、その多くが200床以下の中小病院から構成され、500床以上の病床を有する大病院の比率は全体の5.3%に過ぎない。いわばわが国の医療施設は中小規模病院の比率が高く、これが設備投資や医療の質確保、ならびに経営面の問題の根源にもなっている。

病院は、1992年の第二次医療法改正の結果、大学病院や国立がんセンター、および国立循環器病センターといった高度な医療を提供する“特定機能病院”と比較的長期の療養を主とする“療養型病床群”に二分化された。さらに2000年の第4次医療法改正により、医療法上のその他の病床が急性期医療を視野に入れた“一般病床”と慢性期医療を担う“療養病床”に区分されることとなり、病床は結核、精神、感染症、一般、療養病床から構成されることとなった。

このようにわが国の医療機関は、規模の大小の違いから、医療機能な差異を明確にする方向に向かっている。
一方、診療報酬面でも出来高払いという原則を堅持し、一部を除いて診療所と病院は共通のものであった。しかし昨年より特定機能病院に包括払いであるDPC*(Diagnosis Procedure Combination )が導入され、診療報酬面でも分化が進むとともに、その効果として大病院を中心として医療の標準化等が進みつつある。

また、わが国の病院は医療法に基づく現在医療計画制度(法30条の3)により病床の総量規制が行われている。この制度は1985年の第1次医療法改正によるものである。しかし、それ以前に公的病院は1960年頃から規制され数は減少していった。
病床過剰圏域では医療法上の規制があるものの、原則としてわが国は“自由開業制度”が採られている。診療所も含めわが国の医療機関の設置・運営主体は民間であるのが特色のひとつともなっている。

わが国は世界的にも、表1のように比較的安い国民医療費ですべての国民がどこででも高度の医療を受けることができる国民皆保険の国であるとされている。戦後の医学医療の急激な発展もあって、国民の平均寿命や乳児死亡率などの健康指標は世界で最も良好な状況にある。それぞれの国の医療提供体制は、「医療制度」、「医療施設及び医療機器などの物的要素」、「医師、看護婦などの医療従事者などの人的要素」、「国民」及び「周辺の産業」などから構成され、特徴付けられている。
 また、医療システムは、医療に関する法律が根拠となって構築されているが、特に医療法はその中核を占めている。

国名 医療費支出(対GDP%)
米国 13.1
スイス 10.7
ドイツ 10.6
フランス 9.3
カナダ 9.2
オーストラリア 8.9
イタリア 8.2
ノルウェー 7.7
日本 7.6
英国 7.3
出典:OECD HEALTH DATA 2003


追記
このところ在外研究が多く日本を留守にしておりました。最近では欧州の独、仏、英の3カ国を調査して参りました。調査の内容は昨今懸案事項になっている、献血による採血時の事故に対する献血者への補償問題を、諸外国ではどうなっているかを調べてくるという内容でした。調査は順調に進む中で、ほんのひと時旅の楽しさを満喫しましたので、秋のヨーロッパの風景をおすそ分けいたします。



おなじみパリのノートルダム寺院ステンドグラス


こちらはケルン大聖堂のステンドグラス
さすがステンドグラスの本場ドイツの作品です。圧巻でした



ドイツの赤十字社採血ルームです



ドイツの採血車、まるで宅配便のトラックのようです。日本とは
違いますね。



歴史のあるボン大学正面です



イギリスはロンドンにある名門病院セントトーマス病院です。
近代公衆衛生学発祥の地で、おなじみNHSとはイギリスの保健省
(National Health Service)のことです。


第一回:スウェーデン王国雑感


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